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無題
メモ⑤
戦国界と呼ばれる別世界で見かけた人物。
こちら側でも見たくて、ここ最近授業にでていない。
といっても昨日までは冬休みだったので単位が落ちる心配は無かった。
「なのに今日から授業とか、俺信じない」
「じゃあ来なきゃいいじゃん」
「佐助、せっかく風来坊が大学に来たというのに何を言うんだお前は」
「なんで俺が怒られてんの」
いつも仲がいい二人の掛け合いを見ながら、頭の中では他のことを考えていた。
戦国界でも遠く離れたところで見かけた男。
長髪を頭の高いところで結び、長い髪をなびかせた武将。
「あ、佐助に調べてもらえばいいんじゃん!」
「は?」
「何か困っているのですか?ならば是非佐助を」
「いや可笑しいでしょアンタ」
あちらでは主である源次郎の了解を得た宗次朗は、いち早く見つけて欲しい気持ちが高ぶる。
思い出せる限りの情報をメモ帳に書き出して佐助に渡すと、渋々受け取られた。
「大学の中しか探せないよ?」
「いいのいいの!灯台下暗しにならないように、身近なとこからね!!」
科の違う二人と別れ、自分の教室へと向かう。
なんか恋してるみたいだ!なんて笑いながら歩くと、すれ違いざまに友人たちが声をかけてきた。
その日の放課後、宗次朗は戦国界にやってきた。
「えーっと、この辺で見かけたんだよなぁ…」
北へと続く山を越えるため、森の中を彷徨っていたところで見かけた人物。
上等な馬に乗っていたからどこかのお偉いさんだろう。
「はぁ、このままだと奥州にでちゃうしなぁー」
風来坊と呼ばれる宗次朗こと前田慶次は、戦嫌いのために日本各地を移動している。
そんな慶次も行ったことのない奥州がこの近くにあるのだ。
『奥州は今雪に囲まれているから戦もできない』と信玄が言っていたのを思い出す。
「確かに、この雪じゃ攻め憎いよねー」
自分よりはるかに高く積もる雪山を見上げる。
今慶次が立っているのは、雪をどけて作られた細い道。
恐らく商人が通る道なのだろう。この道を知っている人は数少ないに違いない…こんな抜け道がるとしれれば奥州も冬に戦をするハメになるからだ。
そんな戦、相手も自分もやりにくい。いや奥州の方がまだ有利か。
「ここまで来ちゃったし、東北美人でも探しにいくかねぇっ!!」
一度だけ大きく伸びをして、自分の身長とさほど変わらない大きな弓を背負い直す。
夢吉と呼んでいる弓は自分を何度も守ってくれた大切な相棒だ。
「はぁーっ寒い!!一面真っ白だし!人いないじゃんっ!!」
城下町についたはいいが、人が全くいない。
冬と言えど店はやっているだろうと見込んだが、どうやら見込み違いだったようだ。
何かあったのかというほどに人がいない城下町は、不気味なぐらい静かだった。
「そこのお兄さん!」
「ん?俺かい??」
突然宿屋と思われる店の2階から顔を出した老人に声をかけられる。
視界を上に向けながら返事をすると、老人が一枚の紙を落としてきた。
ひらひらと舞いながら落ちてくる紙をなんとか掴み取り、目を通す。どうやら町人たちがいないのはこれのせいらしい。
「お茶会?」
「そうさ、みんな毎年この時期になると開かれるお茶会に出かけるのさ」
「へぇー?俺もせっかくだからお邪魔しようかな!楽しそうだ!!」
「お兄さん旅のもんかい?じゃあ行くといい、宿が無いなら帰りに寄りな」
「おう!そうさせてもらうね!!で、どこに行けばいいの?」
あぁ、それなら。と指差された先にあるものに言葉を失った。
だって…だってあそこは殿様の住む場所じゃあないですか
「お茶会って…殿様と一緒なの?」
「そりゃ、殿様が開いてくださってるお茶会だからなぁ」
「へ、へぇ~」
この戦国時代に珍しい人がいたもんだ、と驚きながらもお茶会へと参加することにした。
数分後、お目当ての人物に逢えることも知らずに…
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